めぐろのブログ

うたぷりについて語りたいことがある

雪月花の話 その2 雪組の衣装についての感想

衣装の感想です。

まずは雪組から。

聖川真斗。
フルネームで呼びたくなる佇まいは前回同様なんですけど。
今回驚いたのはノーカラーによる軽やかさ。
どの順番で衣装を考えられたのかわかりませんが、たぶん後の二人がスタンドカラーなのに対しての、敢えてのノーカラーだと予想できます。
これはね、前回あそこまで凝った衣装、清廉、静謐にして夜の帝王としての無垢な貫禄充分のあの衣装をこの上なくモードに着せ付けたことでもう、敬太さんの真斗に対する信頼は安定してるわけですよ。
それを踏まえて彼の本質的に迫るような、形としてはシンプル、そして着物を思わせる合わせ。なのですが、もちろんチャイナ服にもこういう襟の合わせ方のものは存在していて、そこにパーソナリティとテーマの融合を見ますよね。しかもあの着物みたいな合せのチャイナ服ってほら、王朝時代のあれじゃん?もう一回言いますね。王朝時代の、あれ。秦漢魏晋みたいな。エンペラー。帝王。ありがとうございます。
こういうところに出てきますからね敬太先生のプリンス解釈。取りこぼせませんよね。
あと見事だなと思ったのが真斗なんですけど。
張りのある素材で作られたジャケットは揺れる要素なんてタッセルのついたウエストのリボンベルトくらいしかないんですけど、あの倉花先生撮影の美しい雪組集合写真においての堂々とした佇まい、静の姿勢からMVの中で見せるたおやかな舞のね、二面性。柔らかい要素の少ない衣装でもって表現するしなやかさがね、素晴らしいねあなた。動いたときにたおやかであるということ。歩く姿は百合の花ってこういうことなんでしょうね。
衣装はもう、シンプルですよね。たぶんね、敬太先生は前回の真斗の着こなし力、衣装にすら憑依する体質を踏まえて下さったように思いますね。あと、体型とか特有の存在感。細い(のはみんな細い)けど姿勢が良くて佇まいがもう貫禄あるんですよね。静かなる存在感。重み。だから別に、すっきりした衣装で良い。
匂い立つような、と今回の全体テーマを挙げていらしたけれど、襟元を開けて抜けを作ってそこから立ち上る色気を期待されてると思うと、さすが前回既にレースを素肌に纏った男は違うなと思いますね。
たぶんスタンドカラーとか、色々試されたんだと思います。でもたぶん服で全部覆うより開けた時に出てくるもの、それこそ匂い立つ真斗自身の魅力を解放して下さったのではないかと。
襟、インナーですがレースをあしらうことによって生まれる華やかさ儚さエレガンスフェミニンさ繊細さ軽やかさ柔らかさ、そういうものを黒でどっしりと包み込んで尚香るように仕立てているのが良いですよね。最低限の見せ幅で。しかも肩襟だけ。静と動、雄々しさとたおやかさ、そういう真斗のための表現なのだと思いました。ただ透けてる=えろいとかじゃなくてね。これノースリーブなのかな。それもまた気遣いですよね、例えば踊るときに袖が重なってない方が良い。どういう方法で前を閉じてるのかなあ。この感じから見るとスナップなのかなあ。ジャケットに凹凸が干渉しない方がいいもんね。中がちら見えしたときも情報少ない方がいいもんね。このインナーは重ね衿、半衿の役割だから。ジャケットを脱いでこのインナーというか、ジレと、パンツだけになってもスタイリッシュでかっこいいんだろうね。
あと、ジャケットの地模様が華文様なのもいいよね。静かな華やかさ。ジャケット丈が長いのがとてもいいよね、白いから重くならないけど重心を下げてエレガンスを強調する。
パンツが白なのも、統一性と、やっぱり凛とした白さの表現なんだと思いました。あとやっぱり雪の表現。雪って真斗には切っても切れないモチーフでもありますもんね。
パンツのサイドラインにゴールドのモール持ってきてるところ、ここが洋なんですよね、王子さま然としたテイスト、アクセントをこれまた最小限に取り入れる。完全なる中華服ではなく、コンセプトであるということがよくわかる。
コンセプトと言えば、敬太先生の中には常にグループで並んだ時の、そして11人で並んだ時の見え方とバランスというものがあったと思うのですが、3人で見た時に襟元までぐっと詰まった二人に対してとてもすっきりとした印象の真斗がいること、全員しっとりとした高級感のある仕上がりにしてるのがとても素敵だと思いました。雪組のイメージが伝わってくる。あとやっぱり、神宮寺レンとのシンメ感。ちゃんと同室、マスターコースをわかってるな…と思ったんですよね。例えば黒崎蘭丸も加えて立たせたら、もう、右大臣と左大臣ですよ。個として美しく、集合させてなお美しく、バラしても組ませても美しく意味を感じさせる。素晴らしい!

 


カミュ様です。
御本人がまた前回同様とても気に入ってらっしゃいそうだなと。ノーブル。良くお似合いですよカミュ様。
正統派なチャイナ服を思わせるシルエットとディテール、デザインのあしらい。
前回の王子様衣装もそうですけど、カミュ様はとにかく正統派でド直球、っていうのが敬太先生のイメージなのかもしれないですね。
チャイナ服そのまま着たらギャグっぽくなったり安っぽくなったりしそうなものですが、カミュ様は問題ないんですよ、カミュ様だから。正統派の美人で背が高くて身の詰まった体つきで。堂々とした美人だから。そして西洋人なのがまたいい。色素の印象が薄目で、それは白い紙に絵を描くように、色を乗せるように、とても映える。がしかし、吸収力もあるので生半可なことできない。そこで出てくるのが正統派のアプローチなんでしょうね。
わたしが今回やたらめったら感動したのが、ジャケットの襟の…襟というか縁の太いトリミングのラインの美しさ。こういうのは人が着てるとさりげなくああ仕立てがいいんだなとわかっても、なかなかここだけを眺めることはできないものですが、衣装展示とあってはもう好きなだけ眺めていられるわけで、本当に堪能しました。見てください、この美しい黒のライン、身頃との合わせ目の無理のなさ。アールの美しさ。攣れることも澱むことも乱れることもなく当たり前の顔をして完璧な流線。違う素材、対局の色のコントラストを極限に美しく見せるのはこういうディテールなんですよね。確かな仕事。
昔メイクの仕事をしていたときに、上手いメイクってどういうもの?と言われると、その手技を感じさせないこと、と答えたりしていた時期がありました。仕事の跡を残さないということ。何かが特出して悪目立ちしないこと。ラインをこう入れてるな、ハイライトをこんなふうに入れてるなとかじゃなく、顔全体が美しいなと思えるように作ること(もちろん局所的にわざとライン等を強調させるメイクは別)。確実な仕事がその痕跡なく全体の美に馴染み美を引き立てていること。それを思い出しました。同じだなと思って。見過ごしてしまいそうなところに確実な技術を入れ、クオリティを支えること。そこで生まれる本物の存在感。こういうのが嬉しいですね、本当に。プリンスが丁寧に扱われていることやプロが心と手を尽くしたことが伝わってくる。
それを思った箇所がもうひとつあって、これはどの衣装にも言えることですが、肩。袖山の美しさ。ここにカミュ様の肩が入るとわかる立体感。膨らみからなだらかに続く袖の直線への無理のなさ。それはもう、人体には腕がついていますので当然服はこうなります、という説明を服にされている感覚。パタンナーの方が上手なんでしょうかね。もちろん縫製もですが。気負いなく気概を感じる仕立てが本当にプロの作るオートクチュールで、大変に美しかった。
あと、このジャケットは地模様が孔雀の羽根なんですよね。オリエンタル…!孔雀ってやはり、東洋では幸福の鳥であり、神の鳥であるので、その紋様を纏うカミュ様が神々しいのは当然ですし、さらっと派手な模様忍ばせてる「それが何か?」みが、もうカミュ様にぴったり。そして恐らくこの地模様を受けての、倉花カメラマンの撮影における孔雀の出現な訳ですよね。呼応。普通に小道具(?)として孔雀がいてもおかしくない空間ですが、この地模様を見たときすごく「実はね」って、種明かししてもらったようで滾りました。すごく、うれしくないですか?うれしいよね…。お互いの仕事に刺激されてシナジー効果が生まれてるのを目の当たりにするのは感動します。
カミュ様のルックはわかりやすくセシルとお揃いですよね。色違いのように。これも感動したんですよね。同型でありながらこんなにも雰囲気が違う。二人とも外国から来た人で、外国人の人たちがオリエンタルエキゾチックな衣装を着ることで漂う、異邦人としてのある種の違和感と非日常感。際立ちますよね。お互いの祖国が対局のような国柄であり、そのベースさえもここに、表現されている。そして、雪、と言うのはカミュ様のアイデンティティにも関わってくるシンボリックなものでもあると思うので着こなして尚馴染んでいないといけない。カミュ様ご自身シノワズリは着慣れないと思うけど、馴染みも特にないと思うけど、さらりと着ていらっしゃるのは白さと雪のモチーフとの好相性もあると思います。
ノーブルなスタンドカラーが素敵ですよね。あとこの、光沢感のあるアイスグレーのカラーね。すごく高級感があって上品で、禁欲的なセクシーさがある。お見事だと思いました。チャイナボタンの羅列もすごく良い。豪華。
パンツがスキニーで、あまりカミュ様フィットしたシルエットのパンツ穿かれないと思うので、新鮮でした。動きやすい、っていう機能面と同時に、あまりにもスタンダードにしてクラシカルなチャイニーズテイストのトップスとジャケットに対して、現代的な軽やかさとファッショナブルな感じを表現してて、バランス絶妙ですよね。ジャケットからひらりしてる別布が、ステージ衣装らしさを添えて、もちろん動いたときに揺れる効果共に上手いなあと思いました。

 


トキヤ。
トキヤ〜
トキヤの、エース感がすごく表されている。
キラキラです。キラキラです!!
一ノ瀬トキヤ、アイドルなんだなと思いました。この、静にして動く気満々な衣装を見てくれ。見てますね。
このショールカラーから成る端正さがすごい。のに、その襟がギラギラなスパングル。最高だ。ミラーボールか。なんだろこれ、スパンコールテープを縫い付けたの?こういう布?ちゃんとグレーのブレードでトリミングしてあるのがすごく丁寧だなあと感心しました。
今回トキヤは基本的に洋装のシルエットなんですよね。遠目にはタキシードみたいな。そこにシノワズリのエッセンスを持ち込んでいる。そこから生まれるのは洗練とオリエンタルな興味深さ、スタイリッシュなさりげないエキゾチック。見事ですよね。
シャンタンの光沢感とざらりとした質感がとてもいい。ただ光ってるのと違って引っ掛かりがあるのがいい。トキヤのアイデンティティを感じられる。気概と言い替えてもいいけど。白じゃなくシルバーグレーなのもいいですよね!すごくハンサムでエレガントな素材。ウエストのところのダーツのラインが綺麗でねえ。トキヤが細いから、その体にフィットしたシルエットを作るのすごく燃えるところだと思うんですよ、作り手にとって。その意気込みを感じますね、このウエストラインに代表される、このジャケットのシルエットに。で、細いからジャケット丈が長く見えるのも、トキヤ…!って思いました。スレンダーがすぎる。このIライン強調スタイルめ。
もちろん皆さんお気づきのように、ジャケットの形は音也と同じですよね。それを、素材とサイジングが違うとこんなに違う顔になる、ということに全員萌え転がったらいいと思う。世界が。
トキヤが細いということはアームホールも小さく袖幅も細いということ?だよね?龍の刺繍が大きいな!と思ったけど別にほかの人と同じ大きさだった!びっくり!
これほんとに採寸して作ってるんですかね?いやそうですよね、そうそう、敬太先生はプリンスに会って採寸して衣装を作っている。すごいね…。オートクチュール…。
プリーツがついてるのいいですよね。なんかストイックで。凛としてる。
あとたぶん皆さん興奮したと思うんですけどね、パンツのボタンが見えてたんですよねトキヤ。トキヤが脚を通し、腰まで引き上げ、下腹の辺りでボタンを止めて、このパンツを穿いた、というのがこんなにも生々しく伝わってきていいのか。本物ってすごい。
このパンツの素材はみんな共通だと思うんですけど、薄手の綿ポリ混紡のストレッチ素材というところにものすごく興奮しませんでしたか?!わたしはしました。ぴーったり、脚に沿うんですよ。布が。ぴったりと。脚の形如実。倉花カメラマンのヴィジュアルで確認済みのあのぴったりシルエットはこの素材だからこそ成るということ。ブラボー。
こういう風にね、あ、動くことを想定されている、とわかるとすごく興奮してしまう。踊るからさアイドル。静かなようでいて重心が上から下に移動する縦の動きも多かったダンスで、このストレッチ素材の良さが遺憾無く発揮されたのだと思うと、まあ平常心ではいられませんよね。伸び縮み最高か。
ねえ待ってほぼほぼみんな同じ素材の同じ形のパンツ履いてるなら、みんなトキヤと同じように脚を通し腰まで引き上げて下腹の辺りでボタンを止めている…たいていのパンツはそうであるがしかし、それをしているということがもう実証されてしまったんですよこの世界は。輝いてるね世界。ありがとうございます敬太先生。やばい。衣装展示はやばい。
でねえ、トキヤのこのインナーね。シャツ。見ました?丸紋が水玉状に入った薄手の布をピンタックを施してスタンドカラーのシャツに仕立てている。縫製の人すごいね…お疲れ様です…。だって別にインナーだし、入ってなくていいんですよピンタック。でも入れるというこだわり。愛とプライド。真摯だなあ。このピンタックが入ることにより、手の込んだ高級感と上質感、立体感が陰影を生み、思慮深いトキヤのパーソナリティに近づくんですよ。たぶんこのピンタックがなくて、ぺろっとした状態でも別に気にならなかったと思うんですね。だけどこのピンタックがあるから奥行きが出て、ファッションのことわからない人が見たってわかるほどの「なんかすごいな」みが出る。トキヤにぴったりだなって思って貰える。あと、中を除きたいという興味に繋がる。個人をより魅力的に見せるのが良い服だとしたら、今回の衣装はどれもそうで、わたしたちは衣装を見ながらプリンスに一層の興味が湧く仕組みになってるんですよ。すごいねえ…。
襟と前立ても別にキラキラしてなくていいのに、キラキラがついてる。黒で光ってるの、すごくトキヤっぽいよね。静かなギラギラ。
もう!!すごくいい衣装だな!!!

雪組の三人が持つストイックさとその奥に秘めた熱ね。あと、硬さと柔らかさとか。その放出の仕方は三者三様なんだけど、それがすごくよく出てて素晴らしいバランスだなと思いました。